2011 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ電解酸化法による新奇セラミックコーティング開発
Project/Area Number |
21656184
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤津 隆 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (40231807)
|
Keywords | プラズマ電解酸化 / 酸化チタン / 生体活性 / 光触媒活性 / ジルコニア / 遮熱コーティング / Ni基単結晶超合金 / 窒化ケイ素 |
Research Abstract |
本研究は,プラズマ電解酸化法により,新奇なセラミックコーティングを開発することが目的である。研究期間で得られた成果は以下の通りである。 (1)生体活性と光触媒活性を併せもつ新奇な酸化チタン膜の作製 生体材料として広く利用されているチタン合金と骨との接合強度を向上させるため、生体内でアパタイト形成能(生体活性)が高い酸化チタン膜の形成に挑戦した。酢酸アンモニウムを電解質に選択した場合、酸化チタンの結晶化が促進し、高い生体活性が得られることを明らかにした。その膜は光触媒活性も併せもつため、紫外線照射によって生体内導入前の殺菌工程の簡略化が可能となる。高い生体活性は、アナターゼの(101)がOH基に修飾され、表面がマイナスの電荷で覆われ、Ca2^+が表面に誘引されることに起因することが分かった。 (2)遮熱性に優れた多孔質ジルコニア膜の作製 Ni基単結晶超合金のタービン翼は耐熱性向上のためにZrO_2コーティングが施されている。本研究は安定な酸化皮膜を本来形成しないNi基超合金上にプラズマ電解酸化法でセラミック膜を形成させるという挑戦的なものであった。アルミナイズされたNi基単結晶超合金にプラズマ電解酸化法でAl_2O_3酸化防止コーティングを施し、その上からK_2[Zr(CO_3)_2(OH)_2]を電解質に選択したプラズマ電解酸化を行うことにより、多孔質ジルコニア膜が作製できることを明らかにした。作製した膜は従来の遮熱コーティングと同等の断熱性および基盤との密着強度を有していることが分かった。 (3)窒化ケイ素粒子を含んだ酸化物被膜の作製 窒化ケイ素粒子が分散した電解液でプラズマ電解酸化処理を行うことにより、窒化ケイ素粒子を相当料含有した酸化物被膜をチタン表面に形成できることが分かった。窒化ケイ素の含有量をコントロールするのは1周期あたりの高電圧持続時間で、それを増加させることにより、電極表面の火花放電に伴う局所対流を激しく生じさせ、窒化ケイ素粒子が数多く膜内に取り込まれることを明らかにした。
|