2010 Fiscal Year Annual Research Report
細孔入口径可変型吸着剤の開発とその温度応答性分離システムへの応用
Project/Area Number |
21656198
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
村上 賢治 秋田大学, 工学資源学研究科, 准教授 (10272030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 幸彦 秋田大学, 工学資源学研究科, 講師 (50232567)
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Keywords | メソポーラスシリカ / 感温性高分子 / イオン交換 / 有機無機複合体 / ゾルゲル法 / 分子ふるい |
Research Abstract |
周囲の温度変化に応答して,細孔入口径を変化させる陰イオン交換吸着剤を開発することを目的とした。0.6mmol/gのアミノ基を細孔内に有するメソポーラスシリカの外表面にジメチルアミノ基を付加した。このジメチルアミノ基と感温性高分子の一種であるポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)を反応させることにより吸着剤を合成した。合成した複合体の構造をFT-IR,XRD,TG,SEM,元素分析を用いて解析した。合成したPNIPAM/メソポーラスシリカ複合体は(100)面間隔が約40Åの六方晶構造を有していることがわかった。TG測定および元素分析の結果,シリカ上に固定されるPNIPAM量は仕込みのモノマー量に関係なく,かなり少ないことが分かった。このことは,SEM観察やFT-IR測定の結果,高分子がシリカ表面上に存在するという確証を得ることはできなかったという事実と一致している。しかしながら,メチルオレンジを用いてイオン交換実験を行った結果,周囲の温度の違いによりメチルオレンジ吸脱着挙動は大きく異なった。すなわち,25℃では,低pH領域でメチルオレンジは約0.25mmol/g吸着し.高pH領域では殆ど全てのメチルオレンジが脱着した。一方,40℃では外部溶液のpHとは無関係に殆ど吸脱着しなくなった。このことはPNIPAMが外部温度変化により膨潤・収縮する際に,メソポーラスシリカの細孔を開閉していることを示している。また,被覆する高分子量はあまり多くなくても良いということも示唆している。このように現時点では細孔の開閉のみが確認されているが,温度を精密に制御することで,細孔入口径を緻密に制御することが可能になるならば,種々の分野,例えば,ドラッグデリバリーシステムやクロマトグラフ用カラム充填剤,分離膜などへの応用が期待される。
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