2009 Fiscal Year Annual Research Report
「植物界」の新概念と新分類体系を構築する系統学的研究
Project/Area Number |
21657024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 久義 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (40250104)
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Keywords | 大系統 / 大分類 / 植物界 / 色素体一次共生 / 色素体二次共生 |
Research Abstract |
色素体は太古のシアノバクテリアの一次共生に由来し、二次共生で様々な原生生物に伝搬した。緑色植物はシアノバクテリアと基本的に異なる色素組成をもつ点で同じ一次共生植物の紅色植物や灰色植物とは異なる。最近の研究では一次共生植物3群が単系統である場合と非単系統の場合があり、多くの議論がある。我々は真核植物の真の系統を推測するには進化速度が遅い遺伝子だけを用いて、ミトコンドリアを欠く寄生虫のような遺伝子進化の特異な生物を排除すべきであるという立場で系統解析を進めているが(Nozaki et al.2003, JME)、緑色植物の姉妹群と二次共生のハプト藻の系統的位置に関してはギャップの多い灰色植物(27%,全体8%)の有無で異なる結果であった(Nozaki et al.2007, MBE)。本年度はNozaki et al.(2007)の用いた進化速度の遅い19核遺伝子を用いて、ギャップを減少させて(灰色植物11.7%、全体6.9%)再解析した。また、灰色植物やハプト藻は系統樹の枝が短く寄生虫等の長枝の影響を受けていることが予想されたので(Nei 1996, Ann.Rev.Gennet.)、長枝OTUを排除した解析も実施した。その結果、紅色植物と灰色植物は"超"植物界の中で基部に位置し、緑色植物はハプト藻とストラメノパイル・アルベオラータからなる単系統群(クロムアルベオラータ)と姉妹群を形成し、この関係は色素体ターゲット遺伝子ispG、fabIそれぞれの共通の遺伝子置換からも推測された。Hackett et al.(2007, MBE)は核コード遺伝子を用いた大系統解析で、ミトコンドリアを欠くギアルディア等の寄生虫を含めた系統樹を構築しており、その結果は一次共生植物が単系統と解析している。本年度、彼らのデータからギャプが50%に近い灰色植物・クリプト植物や寄生虫等を排除し、EF-2を排除した再解析を実施した。その結果、紅色植物とエクスカバータがバイコンタの根元に位置するという上述の系統関係と基本的に一致した。
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Research Products
(5 results)