2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネの穂の遠赤外線乾燥特性と非生物的ストレス抵抗性に関する研究
Project/Area Number |
21658006
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
津田 誠 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30144231)
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Keywords | イネ / 白穂 / 遠赤外線乾燥法 / 出穂 / 高温乾燥風 / フェーン |
Research Abstract |
地球環境の変化にともないさまざまな非生物的ストレスが作物の生産に影響を与えている.イネにおいては干ばつ,塩害,高温乾燥風害などの非生物的ストレスによって白穂が発生し,収量が著しく低下する白穂は穂の乾燥にともない発生するとともに,白の穂発生程度は品種や栽培条件によって変わることが知られている.白穂発生の違いをもたらす要因には茎維管束の通導性とともに穂の乾燥特性も要因の一つであると考えられているが,後者に関する研究は進んでいない.そこで本研究では穂の乾燥特性を新しい遠赤外線乾燥によって示すとともに非生物的ストレスによる白穂発生との関連を検討してきた.これまで塩ストレスと土壌乾燥ストレスに関して検討してきたが,本年度はフェーンすなわち高温乾燥風による白穂発生について研究した. ポットに栽培したイネの穂に高温乾燥風を与え白穂発生させる方法について検討した.熱風発生機を用いてイネの穂に高温乾燥風を与えたところ,白穂発生は暴露時間が長いほど増加したが時間が同じでも白穂発生程度が異なることがあった.そこで暴露中の積算温度に対して白穂発生程度を整理したところ,両者の関係はより安定した.この関係をもとに高温乾燥風に対する白穂発生程度を評価したところ,品種間差はみられたものの差は小さかった.さらにケイ酸施肥によって白穂発生が小さくなる品種と影響を受ない品種がみられた.一方,遠赤外線を使った穂の乾燥特性は品種で差がみられたが,ケイ酸施肥による変化はわずかであった.したがって,穂の乾燥特性と高温乾燥風による白穂発生との関係はさらに研究される必要があると考えられた.
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