2009 Fiscal Year Annual Research Report
循環型ケミカル利用を目指した単分子分解法による木質バイオマスからの選択的CO生産
Project/Area Number |
21658060
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河本 晴雄 Kyoto University, エネルギー科学研究科, 准教授 (80224864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂 志朗 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50205697)
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Keywords | 木質科学 / ガス化 / C1化学 / ケミカルス / エネルギー / バイオマス / リファイナリー / 持続可能 |
Research Abstract |
木質バイオマスからCOとH_2(合成ガス)を製造することができれば、従来天然ガスベースで行われている触媒での変換を組み合わせることで、現在石油より製造されている燃料、ケミカルスを木質バイオマスより製造することが可能になる。本研究課題は、一番のネックとなっているクリーンガス化(特にCO生産)に着目したものである。平成21年度の研究により、以下の成果が得られた。 既に行ってきた研究成果より、木材多糖より生成する一次熱分解物(揮発性生成物)を気相で分解することで、効果的にCOを製造できるのではないかと、代表研究者は考えている。そこで、本年度は、木材多糖より生成する代表的な揮発性熱分解物8種(レボグルコサン、グリコールアルデヒド、ヒドロキシアセトン、フルフラール、5-ヒドロキシメチルフルフラール(5-HMF)、蟻酸、酢酸、メタノール)について、そのガス化特性について検討した。その結果、(1)分子中に存在するアルデヒド基は容易にCOへと変換されること、(2)カルボニル基に隣接するメチル基はCH_4へと変換されること、(3)グリコールアルデヒドやレボグルコサンは水素引き抜きとβ-開裂反応が連鎖的に進行することでCOとH_2を効果的に生成することなどが明らかになった。以上は窒素中での結果であるが、この系に少量の酸素を添加した系でさらに検討することで、酸素の影響について調べた結果、500-650℃の温度域において添加した酸素による顕著がガス化促進は認められず、これらの反応に酸化剤である酸素は不要であることがわかった。なお、フルフラールと5-HMFは酸素存在下で著しくコーク(炭化物)を生成し、これらの成分は酸素の存在する部分酸化ガス化において、クリーンなガス化を困難にする一つの原因物質であることが示唆された。
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