2009 Fiscal Year Annual Research Report
深海底に残されたピロリ菌誕生過程の足跡:祖先型微生物が持つ共生機構の網羅的解析
Project/Area Number |
21658072
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 聡 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (70435832)
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Keywords | 深海底熱水孔環境 / 共生 / 生物間相互作用 / 環境応答 / 病原性起源 |
Research Abstract |
本研究の目的は、深海底熱水活動域に棲息する共生微生物とそのホスト生物の環境応答機構を遺伝子・タンパク質レベルで網羅解析し、近縁の病原性微生物-ヒトの環境応答機構との比較を通じて病原性微生物の誕生過程に迫ることにある。 平成21年度は、計画していた目標を全て達成し、想定以上の成果を得た。本年度は、主にインド洋中央海嶺の深海底熱水活動域に棲息する巻貝を対象とする共生微生物メタトランスクリプトーム解析を実施した。採取したホスト生物を様々な条件下で船上飼育した後、共生微生物画分からトータルRNAを抽出し、ポリTカラムによるホスト生物のmRNA除去、リボマイナス法によるrRNA除去、逆転写後の全トランスクリプトーム増幅法によるcDNA調整を行った後、各試料の識別タグを付加し高速シーケンサーを利用してcDNA塩基配列を決定した。約14.5万リード(計25Mb)の情報を得、タグ配列に基づいてリードを分別した結果、試料あたり2.3-4.5万リード(試料あたり3.4-9.9Mb)の発現遺伝子配列を得ることに成功した。配列解析の結果、近縁の病原性微生物であるHelicobacter属と同様に、本共生微生物がホモポリマーからなる繰り返し配列に基づく遺伝子発現制御により迅速かつ柔軟な環境応答能を有していることが示唆された。現在、発現遺伝子の詳細な同定および協調発現遺伝子の解析を行っている。 以上の結果の一部は、複数の学会や国際誌等で報告した。
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