2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体情報としてのバイオフォトンの発生メカニズムの解析
Project/Area Number |
21658086
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Research Institution | Shizuoka Prefectural Research Institute of Agriculture and Forestry |
Principal Investigator |
加藤 公彦 Shizuoka Prefectural Research Institute of Agriculture and Forestry, 栽培技術部, 研究主幹 (00426446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊代住 浩幸 静岡県農林技術研究所, 生産環境部, 主任研究員 (30426449)
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Keywords | 植物 / シグナル伝達 / 生体情報 / 非破壊計測 / ストレス / バイオフォトン |
Research Abstract |
「バイオフォトンの発生反応の解析」では、イネのキチンエリシター応答解析から、活性酸素種の中でも過酸化水素がエリシター応答発光と量的相関が高いことを明らかにした。さらに、ニコチアナ・ベンサミアーナを用いた解析から、NADPHオキシダーゼ(NbRBOHB)のサイレンシングでINF1エリシター応答発光が抑制されることを明らかにした。病害抵抗反応に伴うスーパーオキシドとそれに続く過酸化水素の生成が、エリシター応答発光と密接に関わることを確認した。また、2価の鉄イオンの触媒により過酸化水素から生成させたヒドロキシルラジカルは、これまでバイオフォトンの重要な発生源とされてきたが、エリシター応答発光の発生源としては、重要でないことを明らかにした。この結果、エリシター応答発光には、シグナル伝達物質として作用する過酸化水素の生成が反映されていることが判明し、生体情報としての特性の一つが解明できた。 「バイオフォトンの変動メカニズムの解析」では、エリシター応答発光を増強させる病害抵抗性誘導剤(アシベンゾラル-S-メチル)の作用を、DNAマイクロアレイにより網羅的に解析した。イネ培養細胞に対する病害抵抗性誘導剤の作用は、その処理の1~2時間後には認められるため、その時間帯で遺伝子の発現変動を調べたところ、WRKYタイプの複数の転写調節因子に、顕著な(対照の3倍以上)発現増加が認められた。WRKY転写調節因子は植物の病害抵抗性誘導に重要な役割を果たすことが分かってきており、エリシター応答発光の増強が病害抵抗性誘導の核心部分の働きを反映している可能性が示唆された。
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