2010 Fiscal Year Annual Research Report
4次元成長力学の構築と牧草個体への適用による空間構造形成過程の解析
Project/Area Number |
21658089
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
下條 雅敬 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (50136545)
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Keywords | 畜産学 / 成長関数 / 成長力学 / 指数関数 / 牧草 / 運動力学 / ボンディのK因子 / アナロジー |
Research Abstract |
1.単調増加な初等成長関数、変曲点を持つミッチェルリッヒ・ロジスティック・ゴンペルツの3つの成長関数、変曲点の位置に自由性のあるリチャーズ成長関数の計5つの代表的な関数について、重量・成長速度・成長加速度を用いて力学的関係式を構成し、それらを比較した結果を次に示す。 (1)初等成長関数の力学的関係式は、ニュートンの運動方程式と似ており、残り4つの関数の力学的関係式にも共通して含まれる。(2)変曲点を持つ3つの成長関数の形はそれぞれ異なるにもかかわらず、それらの力学的関係式は同じ形をしている。(3)リチャーズ関数の力学的関係式は、それに含まれるmの値が0の時には変曲点を持つ3つの関数の力学的関係式に帰着し、m=1では単調増加な初等成長関数の力学的関係式に帰着する。(4)変曲点を持つ3つの関数の力学的関係式と単調増加な初等成長関数の力学的関係式との間には、数学的に越境不可能な壁がある。(5)ニュートンの運動理論との類似性に基づいた力学的関係式の観点から、単調増加な初等成長関数と変曲点を持つ3つの成長関数とがリチャーズ成長関数に統合される。 2.成長関数に用いられる指数関数について、双曲線関数との関係および双曲線関数とローレンツ変換との関係を組み合わせることで、次に示す結果が得られた。 (1)指数関数は、特殊相対性理論の説明に用いられるボンディのK因子と等価である。(2)指数関数それ自体が4次元の相対論的性質を持っていると示唆される(なお、このことは物理学では認識されており、相対論と量子論との連立からも指数関数が導出されている)。 3.上記結果の1と2から、成長力学の構築のために、運動力学とのアナロジーを利用することの有用性が認められた。指数関数とボンディK因子との関係をさらに追究する必要がある。 4.植物個体の実験データから、重量の相対増加速度の二乗に関する3次元空間軸方向の値(草高+横幅+奥行)と1次元時間軸方向の値の比が、成長に伴いイネ科牧草とマメ科牧草いずれでも大きくなった。このことから、個体重を指標とした植物の相対成長は、成長初期では時間軸方向に、成長後期では空間軸方向に、それぞれ活発になることが認められた。
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