2010 Fiscal Year Annual Research Report
微生物による重金属とセレン・テルルの同時回収、発光性半導体微粒子への変換
Project/Area Number |
21658114
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
阪口 利文 県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (10272999)
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Keywords | ナノ微粒子合成 / 資源回収 / 微生物 / レアエレメント / 化合物半導体 |
Research Abstract |
申請者らは、これまでの研究から微生物の酸化還元代謝を用いてCdSeやCdTeなどのナノ微粒子を形成できることを確認してきた。集積培養体から微生物株の純化・分離を行い、16SrDNAの塩基配列に基づく系統分類を実施し、種属同定や分離株の呼吸代謝の類推に利用したところ、CdTeの合成では、エンテロバクタークロアカエによって微粒子合成が引き起こされていることが判明した。CdSe, CdTe合成に関与する微生物を特定できた微生物コンソーシアによる目的ナノ微粒子の合成を行い、バッチ系における培養での各イオンから微粒子への変換を確認した。透過型電顕、並びに元素分析では、テルル微粒子からカドミウムが取り込まれ、CdTeが形成されるのではないかと考えられた。更に、カドミウム以外の重金属カチオンを用いた他の化合物半導体結晶の合成について検討したところ、環境中からの回収が望まれる鉛、戦略元素であるニッケル、コバルト、亜鉛、各イオンをカドミウムイオンに代わるイオンとして培養液中にセレン・テルルオキサニオンとともに添加することで、セレン・テルルとの化合物半導体結晶の合成・変換が可能である結果が得られた。また、鉛とテルルを単独の微粒子で合成できる可能性や、亜鉛微粒子の形成を予測できる結果が確認された。同時に分析に要するサンプル数が増えたため、今回の実験では蛍光性が強いカチオン種であるテルビウム(Tb)イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ユウロピオム(Eu)などのイオンとも共存させながら培養することできず、本件については、来年度に実験を持ち越さざるおえなかった。そのため、粉末蛍光分析によって得られた各結晶微粒子の蛍光特性についても現在解析を続行中である。しかしながら、セレンオキサニオン還元の解明に向けた遺伝子解析では、有効なベクター系、遺伝子導入系の開発、変異株創製系の開発を達成でき、解明に向けたステップ研究を達成できた。
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