2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェノール性水酸基からフルオロ基への変換法の開発と応用
Project/Area Number |
21659005
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
赤井 周司 University of Shizuoka, 薬学部, 教授 (60192457)
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Keywords | カテコール / フェノール性水酸基 / 含フッ素化合物 / 求核的フッ素化 / ピロガロール / カテキン / ドーパミン |
Research Abstract |
フッ素原子の持つ特異な性質を活用した医薬品開発,ならびに医療への応用研究が近年盛んに行われている。含フッ素化合物の合成のために,脂肪族化合物の水酸基からフルオロ基への変換法が多数開発されたが,芳香環上の水酸基からフルオロ基への置換は成功例が殆ど無い。本研究では,カテコール化合物の水酸基の一つを求核的にフルオロ基に変換する前例の無い方法の開発,天然カテコールへの応用,^<18>F含有放射活性化合物の迅速調製法の開発を目的とした。 本年度は,研究実施計画に基づき次の成果を得た。 1.カテコールからオルトキノンを用時調製し,求核的フッ素化剤(DeoxofluorやDAST等)を用いるフッ素化とNaBH4による還元を連続して行なうことでカテコールの一つの水酸基をフルオロ基にipso-置換する方法論を発明した。さらに改良を重ね,これら一連の工程を3時間以内に完了させることが可能になった。これは,後の^<18>F含有放射活性化合物の迅速調製に向けての大きな前進である。 2.種々の置換基を有するカテコール類に本法を適用した結果,置換基の電子的性質によって、フッ素化反応の位置選択性が生じることが分かった。 3.本法はピロガロールやパラジヒドロキノン類にも適用できた。 4.ドーパミン,カテキンなどの自然界にある生物活性化合物に本法を適用し,新規な含フッ素類縁体を創出した。 5.上記の成果を特許出願した(特願2009-122801)。
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