2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規アレルギー治療法の開発に向けた粘膜型マスト細胞の解析
Project/Area Number |
21659017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國澤 純 The University of Tokyo, 医科学研究所, 講師 (80376615)
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Keywords | アレルギー / マスト細胞 / 抗体治療 |
Research Abstract |
マスト細胞は存在部位や細胞内分泌顆粒の構成の違いにより結合組織型と粘膜型に分類され、主に前者が生体防御に、後者がアレルギーの発症に関与すると考えられている。アレルギーの予防・治療を考えた際には粘膜型マスト細胞を特異的に標的とする戦略が有効であると考えられるが、粘膜型マスト細胞の分化や活性化機構についてはほとんど解明されていないのが現状である。そこで本研究課題では、免疫学的・生化学的手法、ゲノム・プロテオーム解析を駆使し、未だ実現されていない粘膜型マスト細胞に特異的抗体の樹立と特異的分子の同定、ならびに生体内における粘膜型マスト細胞の分化・活性化機構を明らかにする。本研究課題の初年度にあたる本年度は、食物アレルギーの発症に伴いマウスの大腸固有層に浸潤してきたマスト細胞を抗原に用い、ラット、もしくはマスト細胞欠損マウスへ免疫することでマスト細胞特異的抗体を4種類樹立した。免疫学的解析を行った結果、これらの抗体は腸管や呼吸器に存在するマスト細胞には反応するが、皮膚に存在するマスト細胞には反応しないことを確認し、粘膜型のマスト細胞に特異的であることが判明した。また生化学的解析からこれらの抗体は免疫沈降法ならびにウエスタンブロットに用いることが出来ることを確認した。今後、これらの抗体が認識するリガンドを同定し、その生物学的機能を明らかにすることで、未だ多くが解明されていないマスト細胞の生物学的機能が明らかになると共に、粘膜型マスト細胞を標的とした抗体療法、免疫療法が確立できるものと期待される。
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