2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21659018
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米田 幸雄 金沢大学, 薬学系, 教授 (50094454)
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Keywords | ミトコンドリア / 神経細胞死 / NMDAレセプター / グルタミン酸 / UCP2 / 脳虚血 / 人口チャネル / Ca2+蛍光イメージング |
Research Abstract |
前年度までの研究で、グルタミン酸(Glu)の神経毒性がラット脳海馬由来神経細胞では、大脳皮質由来神経細胞に比べて極めて強く出現すること、その原因として海馬神経細胞ではGlu曝露により急速にミトコンドリア膜電位が脱分極すること、およびそのメカニズムとしてmPTPの形成が関与することが確認された。これらの研究成績を基に、細胞質内とミトコンドリア内の遊離Ca^<2+>濃度を、それぞれ蛍光イメージング法により比較検討したところ、細胞内遊離Ca^<2+>濃度については両脳内部位由来神経細胞間でGlu曝露への応答性に相違は見られなかった。一方、ミトコンドリア内遊離Ca^<2+>濃度は、海馬由来細胞ではGlu曝露に伴って急速に上昇したのに対して、大脳皮質由来細胞ではこのような急激な変動は観察されなかった。さらに、Glu脆弱性の高い海馬由来神経細胞では、抵抗性の高い大脳皮質由来細胞に比べて、uncoupling protein2(UCP2)2の発現量が有意に高い事実が判明した。次いで、Glu毒性出現メカニズムへのUCP2の関与の可能性を追究するために、NMDAR各サブユニット発現ベクターを導入して、人工的NMDARチャネルをHEK293細胞に構築した。これらの細胞にGluやNMDAを曝露すると、その濃度依存的に細胞内およびミトコンドリア内遊離Ca^<2+>濃度が上昇したが、いずれの上昇もNMDARアンタゴニスト添加に伴って消失した。この細胞にさらにUCP2発現ベクターを導入すると、Glu曝露に伴って細胞内遊離Ca^<2+>濃度は変化せずに、ミトコンドリア内遊離Ca^<2+>濃度だけが著明に上昇した。このUCP2強制発現細胞では、GluやNMDA曝露に伴う細胞死が著明に観察された。以上の結果より、海馬神経細胞におけるNMDA毒性脆弱性の出現には、ミトコンドリア内膜に発現するUCP2発現量が関与する可能性が示唆される。
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