2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物間相互作用を利用したシスプラチン腎症の防御とがん化学療法への応用
Project/Area Number |
21659039
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
乾 賢一 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (70034030)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 淳 京都大学, 医学研究科, 助教 (90452341)
|
Keywords | 薬学 / 毒性学 / トランスポータ / 薬物体内動態 / 副作用 / シスプラチン |
Research Abstract |
シスプラチンは腎毒性が用量規定因子となっている。これまでに腎毒性発現に関する研究によって、腎臓に発現する有機カチオントランスポータOCT2がシスプラチンの腎臓への取り込みを媒介することが示されてきた。そこで、本研究では薬物間相互作用を利用した腎毒性予防法の確立を目的とした。 まず、典型的カチオン性薬物メトホルミンをプローブドラッグとして、シメチジンによる薬物間相互作用機構を検討した。OCT2、MATE1をそれぞれ発現させたHEK293細胞および共発現したMDCK細胞を用いてシメチジンの阻害能を検討したところ、OCT2よりMATE1に高い阻害能を示した。OCT2に阻害効果を示すには、血中濃度が50μM程度は必要であることが明らかになった。さらに、糖尿病患者におけるメトホルミンの腎排泄能に関して検討を行った。メトホルミンの排泄はクレアチニンクリアランスと良好な相関が認められた。一方、OCT2、MATE1、MATE2-Kのヘテロの変異による影響は観察されなかった。以上より、OCT2による腎臓への薬物の取り込み活性は非常に強く さらに強力なOCT2阻害薬としてイマチニブ併用による影響を検討した。その結果、イマチニブの共存により、シスプラチンの腎毒性が減弱し、腎蓄積も低下した。また、in vitro阻害実験により、IC50値は数μMと算出された。現在、イマチニブはシスプラチンとの併用療法に関する臨床試験が実施されており、効果増強だけでなく副作用予防にも有効である可能性が示唆された。
|
Research Products
(4 results)