2009 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ、マウス、ヒト間で保存された疾患発症シグナルの解析研究
Project/Area Number |
21659198
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
久場 敬司 Akita University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10451915)
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Keywords | CCR4-NOT / CNOT3 / ショウジョウバエ / 心不全 / エピジェネティクス / 転写 / RNA |
Research Abstract |
ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、マウスといったモデル生物は、これまでにヒト疾患の病態解明に貢献してきた。特にショウジョウバエやゼブラフィッシュの変異体ライブラリーを用いた遺伝学的スクリーニングは、強力な疾患関連遺伝子の同定のツールとなりうることから、ショウジョウバエの遺伝学的スクリーニングで得られた遺伝子群について、マウスの病態モデルやヒト遺伝子との関連を機能解析することにより、モデル生物スクリーニングのヒト疾患発症シグナル解明での有効性、重要性を検証する目的で本研究を行った。平成21年度は、主に下記の2項目について検討を行った。 1)ショウジョウバエの心管形成スクリーニング:ショウジョウバエのP-エレメント挿入変異体のライブラリーを用いて、心管(ショウジョウバエの心臓)の形成に異常をきたす変異体のスクリーニングを行った。1200のP-エレメント挿入変異体について、心芽細胞のマーカー遺伝子Tinmanの発現パターンを指標に心管の形成を調べたところ、NOT3遺伝子を新規の心管形成に必須の因子として初めて同定した。 2)遺伝子改変マウスの作製ならびに心臓の機能解析:上記スクリーニングの結果に基づき、NOT3遺伝子欠損マウスを作製した。ホモ欠損マウスは胎性致死であったが、ヘテロ欠損マウスで心エコーにより心機能評価を行ったところ、加齢に伴う心収縮能の低下を認めた。さらに圧負荷心不全モデルにおいて、著しい心収縮能低下、心不全をきたし、NOT3が心機能の恒常性維持に重要であることを明らかにした。 以上の結果から、ショウジョウバエの心管形成因子は、マウス心機能調節に重要な因子として保存されていることがわかった。
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