2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659235
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 誠司 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特任准教授 (60292900)
|
Keywords | TAM / ダウン症候群 / SNPアレイ / 21トリソミー / GATA1変異 / 胎生造血 / インプリンティング |
Research Abstract |
Transient abnormal myelopoiesis(TAM)はDown症候群の患児に特異的に発症する造血異常であり、多くは生後早期に発症する。TAMのほぼ全例にGATA1遺伝子の変異が存在することから、21trisomyとGATA1遺伝子の異常が協調して病態を形成していると考えられるが、その分子病態は明らかにされていない。そこで本研究では、21番染色体上に位置し、胎生造血を制御している刷り込み遺伝子がTAMの病態に関与している、という仮説に基づき、TAMの発症機序と胎児造血の制御機構を解明するための基盤となる知見を得ることを目的として検討を行った。 まず、TAMを発症した患児の21trisomyの由来を同定する目的で、3組の両親および患児に対してのSNPタイピングを行ったところ、TAMを発症したDown症候群においては、母親由来のuniparental heterodisomyにより21trisomyを引き起こしていると推定された。Down症候群以外の先天性trisomyについての解析を行ったところでは、trisomyの由来は母親であったが、uniparental heterodisomyとhomodisomyは頻度の差は大きくなく、TAMの発症にはimprintingによって制御されている遺伝子の関与があることが示唆された。また、胎生造血環境に関与する遺伝子の過剰がTAMの病態を形成していると推定されるため、代表的な造血制御経路として、NOTCH経路に関わる遺伝子群(NOTCH1、NOTCH2、NOTCH4、HES1、HES5)について発現量解析を行ったところTAM細胞では一般的な骨髄系細胞に比べこれらの遺伝子の発現量が高いことが確認された。 TAMの病態に関与する分子基盤を、このようにして遺伝学的および機能的な検討から検討することは、造血の制御機構を明らかにするだけでなく、TAMの約20%にみられるような治療が必要な症例に対する分子標的療法の開発に寄与しうる知見となると考えられ、さらに解析を進めていく。
|
Research Products
(4 results)