2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト培養細胞の機能性分子発現解析に基づくポストFDG腫瘍診断薬の設計戦略の構築
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21659286
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川井 恵一 Kanazawa University, 保健学系, 教授 (30204663)
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Keywords | ヒト培養細胞 / 機能性分子発現解析 / ポストFDG / 腫瘍診断薬 / PET製剤 / 腫瘍集積性 / アミノ酸トランスポータ / 設計戦略 |
Research Abstract |
本研究は、ポストFDG腫瘍診断薬開発における確かな根拠と系統的な設計戦略を構築することを目的として、薬剤評価に用いるヒト培養細胞の遺伝子発現レベルをデータベース化し、癌細胞に高発現している機能性分子を予め探索するとともに、尿中排泄に関連する腎尿細管における分泌・再吸収機構を併せて分析し、ポストFDG製剤に相応しい速やかな尿中排泄性を有する分子標的腫瘍診断薬開発に利用する。特にポストFDG製剤の中でも有力候補であるアミノ酸製剤を取り上げ、腫瘍で特異的に高発現が認められるアミノ酸トランスポータに親和性を示す標識アミノ酸を選択し、集積機序を解析するとともに、その腫瘍集積性との相関から、その設計戦略の妥当性を評価する。 まず、ヒト腫瘍細胞におけるトランスポータなどの機能性分子の発現を網羅的に観察するため、リファレンスRNAにより標準化したデータベースを構築するとともにその信頼性を確認した。アジレント社製DNAチップを用いて16種類のヒト培養腫瘍細胞における約4万配列の遺伝子発現レベルを測定した。また、これまでの遺伝子発現解析結果の信頼性を確認するために、新たなヒト培養細胞試料の解析にあたり、委託業者であるDNAチップ研究所にも同一試料の解析を依頼し、両解析結果の近似曲線の相関係数を求めて比較した。異なるスキャナにより計測されたデータから解析した遺伝子発現レベルを比較した結果、すべての測定試料において相関係数は0.98以上と非常に高い相関性が得られた。リファレンスRNAを用いて標準化するこの解析方法をこれまでのヒト腫瘍細胞における遺伝子発現解析結果に適用することにより、直接比較可能なデータベースを構築した。本標準化法により、特定機能分子の遺伝子発現プロファイリングがすべての試料に対して可能となったことから、今後、このデータベースを利用し、アミノ酸トランスポータの発現レベルを比較検討して、ポストFDG製剤に相応しい標的分子を検索するとともに、分子標的とするアミノ酸トランスポークに親和性を示す標識母体アミノ酸を選択する。
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