2009 Fiscal Year Annual Research Report
人工冬眠を目的とした細胞膜透過性氷核ペプチドの開発
Project/Area Number |
21659363
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
廣瀬 宗孝 University of Fukui, 医学部, 准教授 (50275228)
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Keywords | 人工冬眠 / 臓器保存 / 氷核タンパク質 / 細胞膜透過性ペプチド / 不凍タンパク質 |
Research Abstract |
本研究は、凍結時に超微小の氷を無数に生成させるための氷の核となるペプチド(細胞膜透過性氷核ペプチド:cell-permeating ice nucleation peptide(CPINP)と命名する)を開発し、凍結による細胞破壊を防止することが目的である。CPINPの候補として、Pseudomonas syringaeが産生する氷核タンパクのアミノ酸配列を参考にして作成したペプチド(YGRKKRRQRRR(Tat)-X-AGYGSTLT-AGYGSTQTと、Tat-X-AGYGSTQT-AGYGSTLT-AGYGSTQT-AGYGSTLI,X=ε-アミノカプロン酸)、およびTat-X-GPAGを作成した。細胞凍結実験では、ヒト肺がん細胞のA549細胞を用いて、凍結(-30℃と-80℃)後の細胞増殖能を検討した。 これらのペプチドとグリセロールまたはDMSOを、様々な濃度と割合で混合した培養液を作成し、細胞を凍結した。凍結時の温度変化、凍結時間を様々に変化させ、解凍後の細胞増殖が最も良いと考えられる条件を検討した。その結果、5%DMSOに1mMのTat-X-AGYGSTLT-AGYGSTQTまたはTat-X-GPAGを加えると、5%DMSOのみの場合に比べて、増殖率が増加する可能性が示唆された。 平成21年度の実験結果により、平成22年度では、Tatのみ,Tat-X-KIYSK,Tat-X-DIYST,Tat-X-TDYYR,Tat-X-DTTRV,Tat-X-RDIYSTD,Tat-X-IFTYQKRなどのペプチドも加え、がん細胞ではない正常細胞を用いた実験も行う展望を開くことができた。
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