2010 Fiscal Year Annual Research Report
医療事故生成プロセス防御モデルに基づく医療安全のための心理教育法の開発
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21659497
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
兵藤 好美 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 准教授 (90151555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 共子 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (40227153)
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Keywords | ゲーミングシュミレーション / ヒヤリハット / 人物記憶ゲーム / 配薬課題ゲーム / Wチェックゲーム / 記憶の忘却・変容 / 時間切迫 / 社会的依存 |
Research Abstract |
【平成22年度 研究成果】 I.シュミレーションゲームの開発:今年度は、ヒヤリ・ハットが生じる要因を取り入れた<人物記憶ゲーム><配薬課題ゲーム><Wチェックゲーム>を作成・実施した。人物記憶ゲームでは「記憶の忘却・変容」,配薬課題ゲームでは「時間切迫」,「作業中断」,Wチェックゲームでは「社会的依存」等の要素を取り入れた。これらを学生に実施し,ゲーミングシミュレーションの効果を測定した。その結果、(1)ゲーム実施前後の意識変容では「エラーが発生する条件や環境に関する学び」,「学生時代での医療安全教育の重要性」の項目において、実施後の方が有意な上昇が認められた。更にゲーム経験群と非経験群では「無意識に自分が間違いを犯している」,「医療事故の予防対策や工夫についての知識の習得」に関する項目においてゲーム経験群の方が有意に高い値を示していた。(2)配薬課題ゲームでは数の間違いに関し,中断群の方が条件なし群より多かった。(3)Wチェックゲームでは,本調査において間違った数に関し,新人Ns群の方が条件なし群より有意に低かった。また「人に頼る気持ちがあった」等の心理面に関し,ベテランNs群の方が条件なし群より有意に高いことが明らかになった。 以上の結果より、学生がゲーミングシミュレーションを体験することで,医療安全に関する意識の変容が生じることが明らかとなった。また,中断が作業に与える影響や,Wチェックにおけるミス発見率は前チェック者の特性に左右されることが示唆された。 II.教育プログラムの開発:これまでの認知面に焦点を当てたゲーム作成から、チームワークやコミュニケーションに焦点を当てた病院向けのゲームを作成し、依頼のあったA病院(病床数:1000)で実施した。実施後の感想はゲームを楽しんでいたことを示唆する内容であり、医療の安全性のために、より良いチームを形成するための動機づけとなったことが明かになった。今後はさらに内容の精緻・充実化を目指したい。
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Research Products
(5 results)