2011 Fiscal Year Annual Research Report
乳腺炎の発症に係わる食事因子のモデル動物による解明
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21659520
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
江藤 望 宮崎大学, 農学部, 准教授 (90232959)
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Keywords | 乳腺炎 / 母乳哺育 / 食餌因子 / 栄養学 / 食品 / 看護学 |
Research Abstract |
乳腺炎の発症は、母乳育児を困難にする。発症危険因子として経験的に食事が挙げられているが、科学的根拠は全く解明されていない。そこで本課題では、乳腺炎発症と食事成分との関係を世界で初めて実験的に解明することを目的とした。前年度、スクロースを摂食させ且つ乳汁をうっ滞させると、乳腺組織に炎症が発症する事を見いだしていた。今年度は、乳汁をうっ滞させずに食事組成の違いのみで乳腺に炎症が生じるのか確認したところ、ショ糖摂食群はマルトース摂食群と比較して、乳腺組織に好中球が有意に存在することを明らかにした。しかし、その程度は非常に低く、重篤な炎症ではなかった。このことは、乳腺炎の原因を食事組成のみには求められないことを示唆している。母乳育児を支持する医療機関の指導にも拘わらず、児の飲み残しを搾乳していない授乳婦は多い。こうした授乳婦が、特定の食事成分を多量に摂ることで、乳腺炎を誘発しているという仮説が導かれた。次に、より多くの食事成分とその摂取量について、乳腺組織における炎症発症との関係を簡便に確認可能な乳腺炎簡易検出系を開発すべく、乳腺炎に関連する乳腺組織中のマーカー遺伝子の探索を行った。仔マウスを強制離乳した場合と、授乳を継続した場合で、親マウスの乳腺組織の遺伝子発現を比較したところ、前者でMAPキナーゼ経路に関連したものが多く高発現していた。次いで、食事成分の違いを検討したところ、マルトース摂食群よりもスクロース摂食群で、MAPキナーゼ経路および炎症反応に関わる遺伝子の高発現が認められた。一部の炎症関連遺伝子発現量の検出により乳腺炎の程度を評価可能であることが示唆された。なお、動物実験を開始する前の授乳婦に対する意識調査がまとまったので、論文報告した。
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Research Products
(2 results)