2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21680023
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
梶本 裕之 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 准教授 (80361541)
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Keywords | 触覚 / 情動 / モデル化 / 電気刺激 / インタフェース |
Research Abstract |
本研究は,触覚によって音楽のような心を揺り動かされる感覚体験を生み出す手法を体系化することを目標とし,情動を引き起こす触覚体験の単位要素の同定,情動を引き起こす触覚体験に必要な触覚ディスプレイの設計論構築,および情動を引き起こす触覚体験の低次-高次モデルの構築を行う. 第一年度であるH21年度は,まず情動を引き起こす3つの触覚的作品を作成した.第一に音響スピーカを用いた簡便な触覚提示装置による生物感提示装置であり,呼吸や鼓動を模した圧と振動により,リアルな生き物を触っている感覚を体験出来る.第二に鉛筆削りを模した触覚提示装置であり,鉛筆を削る際の振動および音をあらゆる速度で記録し,ユーザの回転速度に合わせて再生することでリアルな感覚を再現している.第三に笑いの増幅であり,ユーザの笑い初期動作を筋電で検出し,周りに配置した人形が笑うことによって,ちょうどコメディ番組のラフトラックと同様に笑いの場を生成することができる.以上の3つのアプリケーションは現在,高齢者および自閉症の児童への適用実験を計画している. 音響スピーカを用いた触覚提示の中で,人の感情を生起するための触覚提示手段は,皮膚との接触部が極力柔らかい必要があることが分かった,固い接触面であると,たとえ柔らかいダイナミクスを再現しても感情を生起するまでに至らない,この観察から,新たな触覚提示手法のための二つの現象を解明する研究を行った.第一に熱蒸気によって圧覚が発生する現象であり,汗腺を介して直接圧覚受容器が刺激されることで柔らかな圧覚が生起していることが分かった.第二に人が水面を知覚する現象であり,水面は通常の触覚受容器ではなく,皮膚に生える毛のたなびきによって知覚が増幅されていることが分かった.以上の新たな知見は今後,感情を生起する触覚ディスプレイの構成手法として有望と考えられる.
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Research Products
(13 results)