2012 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能行動データに基づく北極圏高次捕食動物の環境応答解明
Project/Area Number |
21681002
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
渡辺 佑基 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (60531043)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 北極海 / 水温 / 遊泳 / サメ |
Research Abstract |
ニシオンデンザメの論文をJournal of Experimental Marine Biology and Ecology誌上で発表した。このサメは体の大きさの影響を考慮すると、いままでに測定されたどんな魚類よりも遊泳速度や尾びれを動かす頻度が遅いことを報告したものである。北極海の低水温の影響が筋肉の活性を落とす形で行動に表れているものと考察した。論文の掲載に合わせ、「世界一のろい魚」と題して国立極地研究所からプレスリリースを行ったところ、朝日新聞、中日新聞、しんぶん赤旗、ナショナルジオグラフィック等、数多くのメディアに取り上げられ、幅広く研究成果をアピールすることができた。またプレスリリースとは無関係に海外からも数々の取材を受け、BBC, National Geographicなどのウェブサイトで特集記事が組まれた。 7月には米国アラスカ州のプリンスウィリアムズ湾においてネズミザメの行動調査を実施した。ネズミザメはニシオンデンザメと違い、低い水温の中でも高い体温を維持する特殊な生理機構を備えている。もしニシオンデンザメに見られた緩慢な動きが、本当に北極海の低水温の影響だとすれば、ネズミザメははるかに素早く泳ぎ回ると予想された。 約二週間の航海中、思うようにサメが釣り上げられずに苦労したが、なんとか一匹を釣り上げて記録計を取り付け、48時間にわたるデータを得ることができた。予想通り、体の大きさの影響を考慮すると、ネズミザメの遊泳速度や尾びれを動かす頻度はニシオンデンザメのそれよりもはるかに速かった。この結果により、北極海の低水温の影響は、動物の体温調整のメカニズムによって異なる形で表れることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)