2010 Fiscal Year Annual Research Report
形状揺らぎ許容度の高いもつれ合い光子対発生源の作製に関する研究
Project/Area Number |
21681020
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
熊野 英和 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (70292042)
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Keywords | 量子リング / もつれ合い光子源 / 形状揺らぎ許容度 / 高精度膜厚制御 / InAsリング / 微細構造分裂 |
Research Abstract |
平成22年度は、形状揺らぎ許容度の高いもつれ合い光子源の実現に向けて、再現性の良い量子ディスク構造の作製を中心に検討した。GaAs基板上に有機金属分子線エピタキシー法により成長したInAs量子リング構造に対してGaAs部分キャップ成長を行い、Inフラッシュ法によりInAsの尖頭部分をエッチング作用により高さを制御しながら削り落とすことによって、高い形状対称性を持つディスク構造の形成を試みた。InAs量子ドット構造の平均サイズは高さ5nm、直径75nmで、密度は約6x10^9/cm^2であった。原子間力顕微鏡による観察の結果、部分キャップ成長+Inフラッシュ法により、InAsの高い対称性を有する初期形状を保持したまま尖頭部分を高い平坦性をもって除去できていることが確認された。これは部分キャップ成長速度を十分低く抑えることが本質的に寄与しており、速いレートでのキャップ成長を行った場合には容易に[0-10]方向に伸びた構造となってしまうことが判明した。さらに単原子層構造も明瞭に観測され、高品質な結晶表面形態となっていることも確認できた。 一方、Inフラッシュ法を行なわずに作製した量子ドット構造を参照構造として、量子ディスク構造の集団的な発光特性を試料温度10Kにて評価した。その結果、ピーク波長が参照ドットの1120nmに対して、高さ2.1nmの量子ディスク構造では927nmに短波長シフトし、更に顕著なスペクトル幅の狭窄化が観測された。これはInフラッシュ法により、主に量子閉じ込めに寄与するナノ構造高さが均一化されたためと考えられる。平成23年度ではこれらの量子ディスク構造のより詳細な光学的特性を明らかにしていく。
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