2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21681028
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北 将樹 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30335012)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 天然物化学 / 麻痺性神経毒 / 単離と構造 / 生物活性 / 哺乳動物 |
Research Abstract |
新規神経毒の化学的解明は,薬理学,神経科学,精神医学など広範な生命科学研究の発展に貢献し,また新規薬剤の創製にも直結する.本課題では毒をもつ哺乳類であるトガリネズミやカモノハシの特異な麻痺性神経毒の解明を目指した.北米に生息するブラリナトガリネズミの顎下腺抽出物に様々な神経毒作用を確認し,分子量約5kDaの低分子化合物の精製に成功した.構造や機能の解析を進めている.またカモノハシ毒成分の研究では,発見した新規ヘプタペプチドHDHPNPRが,N型およびL型の電位依存性Caチャネルを発現するよう分化誘導した神経芽腫細胞(IMR-32細胞)に対するCa2+流入作用や,GABAA受容体,NMDA受容体,グルタミン酸受容体などに対する拮抗作用,およびマウス脳内投与による痙攣作用や皮下投与による炎症惹起作用など,多様な生物活性を示すことを見出した.神経組織や,炎症,痛みの仕組みに特異的に作用するものと予想される.一方,ゲルろ過HPLCで分離したカモノハシ毒液の高分子画分に,ヒト低分子キニノーゲンを特異的に切断する酵素活性を見いだし,爬虫類やトガリネズミの毒と同様,カモノハシ毒にもカリクレイン様プロテアーゼが含まれ,その構造はヒトでは脳神経系で発現するカリクレインのアイソザイムKLK-6に非常に類似していることをホモロジーモデリングで明らかにした.さらに2012年春および2013年春には,絶滅危惧種の哺乳類ソレノドンについて,キューバのフンボルト国立公園で生態調査を行い,世界で初めての唾液採取に成功した.この成分分析により,ソレノドンの唾液にもブラリナトガリネズミに匹敵する強力なプロテアーゼ活性がみられること,またSDS-PAGEやMALDI-TOF/TOF MS解析などにより,この唾液の主成分ペプチドやタンパク質が顎下腺抽出物に比べて種類が少なく,非常に純度が高いことを発見した.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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