2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21683008
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小村 豊 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 脳神経情報研究部門, 主任研究員 (80357029)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
モデル化しやすい視覚系を選んで、色と動きという最も離れた情報の統合を要求する課題(Color to Motion Binding ; CMB課題)を開発した。CMB課題では、「色」次元と「動き」次元の特徴の組み合わせを、確率的に操作したランダムドットを、テスト刺激として呈示する。サルには、ある色を手がかりとして与えた場合、その色のドットの動きの向きを判断して、定められた左右のどちらかのバーを触れるという行動選択を要求している。具体的には、色次元では、赤・緑、動き次元では、上・下という競合特徴を二つずつ用意し、各特徴を組み合わせた刺激は4種類作成し、それらをトランスパレントに同時に提示する。なお、赤緑、上下という個々の視覚属性は、同じ確率で提示し、その組み合わせ確率のみを、変化させている。例えば、赤のドット群が100パーセント上向き、緑のドット群が、100パーセント下向きのランダムドットで構成されるテスト刺激を呈示する時、手がかり刺激が赤の場合、上向きなので、右のバーを、手がかり刺激が緑の場合、下向きなので、左のバーを、触れることを求める。また、手がかり刺激が青の場合、どのような刺激の場合でも、下のバーを触れることをサルに要求した。 CMB課題のトレーニングに成功したサル2頭の行動学的解析を行った。色と動きの結びつき係数を横軸に、正答率または反応時間を縦軸にとると、それぞれ、シグモイド曲線と回帰直線で、フィットできた。また、知覚判断を問わない条件では、両軸の関係は、無相関であった。これらの結果から、サルの知覚判断が、色と動きの結びつきの強さに基づいていることが、客観的に担保され、情報統合が難しくなればなるほど、リクルートされる注意水準が、上がっていくことが、定量的に推定できた。
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