2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21683008
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小村 豊 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (80357029)
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Keywords | 脳・神経 |
Research Abstract |
前年度までに、色と動きという異なる視覚情報の統合を要する課題を、複数のサルに訓練し、心理物理関数を得た。本年度は、ほぼすべての視覚系大脳皮質と解剖学的結合を有している視床枕に、微小電極を挿入し、課題遂行中のニューロン活動を、多数記録した。記録したニューロン活動のパターンを大別すると、視覚刺激呈示期間中のみに応答するタイプと、その期間に限らず、視覚刺激呈示前から行動選択に至るまでの期間でも、応答するタイプに、分けられた。視知覚における視床枕の役割を明らかにするため、本年度は、前者のタイプを、詳細に解析した。その結果、1)色または動きに選択的に応答するニューロン、2)ある特定の色と動きの組み合わせに応答するニューロン、3)視覚特徴によらず、色と動きの組み合わせ率に相関して、応答強度を変化させるニューロンに、分類できた。ポピュレーションでみると、3)のタイプのニューロンが、最も多かった。 このタイプのニューロンは、ある特定の視覚特徴を抽出しているのではなく、知覚の曖昧さという、よりアブストラクトな情報を反映している可能性が示唆された。従来の視覚系皮質領域の研究では報告されていない、新規の脳内表現と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進化の過程で、めざましく拡大してきたにも関わらず、その果たす機能が、釈然としていなかった視床枕のニューロン活動を多数記録した点で、その計算機能に迫ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、視床枕の神経活動が、主観的な知覚の曖昧さに、機能的にリンクしているのか、薬理学的実験などを用いて、検証する必要がある。
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