2011 Fiscal Year Annual Research Report
積層芳香環から成るπ-スタック型高分子の合成と応用
Project/Area Number |
21685012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森崎 泰弘 京都大学, 工学研究科, 講師 (60332730)
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Keywords | π-スタック高分子 / π-π相互作用 / 芳香環積層 / 電荷移動 / エネルギー移動 |
Research Abstract |
本年度はまず、芳香環積層のための土台分子としてキサンテン骨格を選択し、積層芳香環としてフルオレンを導入したフルオレン積層高分子の合成と、積層部位としてチオフェン-フランオリゴマーを導入したπ共役系オリゴマー積層高分子の合成に成功した。 フルオレン積層高分子では、フルオレンの9位に置換したアルキル基の立体的影響により、積層したフルオレン環同士の相互作用が基底状態・励起状態のいずれにおいてもほとんど観られなかった。 また、チオフェン-フランオリゴマー積層高分子においても、オリゴマー鎖同士の相互作用は非常に弱いことが示唆された。チオフェン-フランオリゴマー積層高分子の電気化学的物性を評価したところ、サイクリックボルタンメトリーから最高被占軌道のエネルギー準位は5.25~5.45eVと見積もられた。得られた高分子は優れた成膜性を示すことから、ホール輸送材料としての応用が期待できる。 本年度はさらに、キサンテンの9位の側鎖に光学活性アルキル基を導入し、芳香族化合物としてアントラセンを積層させた芳香環積層高分子を合成した。固体状態における物性を評価したところ、高分子薄膜の円二色性スペクトル測定の結果から、アントラセンのπ-π^*遷移に由来する吸収帯にコットン効果が観られ、側鎖のキラリティーが積層アントラセン環に誘起されていることを明らかにした。 一方、キサンテン骨格を土台分子、ターフェニルをπ共役系オリゴマーとして用い、ボロン酸とジオールとの脱水縮合反応による重合を試みたところ、高分子量体は得られずに環化体のみが良好な収率で得られた。得られた環化体はπ電子系が積層した全く新しいタイプの環状化合物である。モデル化合物を別途合成し、環化体との物性を評価したところ、環化体では基底状態・励起状態のいずれにおいても、ターフェニル同士が弱くπ-π相互作用していることが明らかになった。
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Research Products
(27 results)