2011 Fiscal Year Annual Research Report
高効率カーボンナノチューブ構造分離法と機能化ナノチューブの開発
Project/Area Number |
21685017
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 俊也 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 研究チーム長 (90314054)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 高分子 / 構造分離法 / フラーレン / ナノピーポッド / 発光 |
Research Abstract |
半導体単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を分離する方法として、これまでに色々な報告がされているが、フルオレン系高分子を分散剤として用いることにより、特定のカイラル角又は直径を有する半導体SWCNTを選択的に抽出する方法は、高純度抽出法として知られている。昨年度までに、これまで報告例のなかったチューブ直径の大きな(約1.3nm以上)のSWCNTを選択抽出するフルオレン系高分子(PFD、F8BT)を報告したが、今年度はさらに抽出できるSWCNTの直径範囲が狭く、選択能力のより高いフルオレン系高分子PFO-Py(poly(9,9-dioctylfluorene-alt-benzothiadiazole))を見出した。 SWCNT表面上でのPFO-Pyの構造を分子力場法によって最適化したところ、PFO-Pyの骨格部分は、波型形状をとっていることが示唆された。つまり波型形状にフィットした表面構造をもつSWCNTのみが選択的に抽出されていると考えられる。また同時にPFO-PyとSWCNTからなるエキシプレックス発光も観測されたことから、SWCNTとエキシプレックス生成しやすいことも大きな要因であることがわかる。つまり、半導体SWCNTの選択抽出のためには、(1)使用する高分子がSWCNTとエキシプレックス生成するなどの比較的強い相互作用をすること、(2)高分子の骨格部分が構造をとることによって、特定のSWCNTと強い相互作用をすること、の両方が重要であることが分かった。 さらにこのPFO-Pyによって抽出された半導体SWCNTは約1.5μmの発光波長を有していた。この1.5μm波長帯はシリコン材料において光透過性が良いため光通信等でよく用いられている。そのためこの発光帯で動作するSWCNTフォトニクスデバイスは実用上大変価値が高いと予想される。そこで、PFO-Pyをもちいた半導体SWCNT抽出法について特許出願をおこなった。
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Research Products
(10 results)