2011 Fiscal Year Annual Research Report
土壌水分量と傾斜変位に着目した豪雨時の低コストで簡便な斜面監視システムの実用化
Project/Area Number |
21686043
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内村 太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (60292885)
|
Keywords | 斜面防災 / モニタリング / センサーネットワーク / 変位計測 / 水理特性 |
Research Abstract |
1.斜面の無線センサーネットワーク機器の機能、信頼性の向上 22年度に続いて、国内の複数の斜面崩壊現場、掘削工事現場などで、監視機器を設置運用し、高温、低温、風雨の中での長期耐久性、計測の信頼性を検証した。 2.斜面変位と土壌水分量の組み合わせモニタリングによる豪雨時の斜面崩壊の危険度評価法の提案 日本国内、及び中国で斜面にセンサーを設置した実現場のうち、豪雨や掘削による変状や斜面崩壊が見られた場所で、センサーから得られたデータを分析し、どのような挙動が見られたときに、斜面が危険な状態にあると判断すべきか、早期警報の基準を検討した。斜面が豪雨などにより短時間で崩壊に至る場合と、地すべりや掘削工事などで長期間かけて変状を起こす場合とに分けて、それぞれ異常時に、斜面表層に立てたロッドの傾斜角が示す傾斜角速度の範囲を、経験的に特定することができた。 また6月に、四川省の自然斜面で、人工降雨による崩壊実験を行って、斜面崩壊前に測定されるデータと、それに基づく早期警報基準の決め方について考察した。ここでも、実現場での結果と同じく、斜面崩壊前には同じ範囲の傾斜速度が観察された。また、この実験では、斜面の変位と斜面内部の土壌水分量の推移の間に、22年度に検討したような、地盤材料の力学試験における応力とひずみの関係によく似たユニークな法則が見いだされた。 さらに、実験室内で、不飽和山砂の単純せん断試験を行い、一定の圧縮、せん断応力下で、時間あたり一定量の水を注入したときの、せん断変形の進み方を詳しく分析した。雨水の浸透が一定速度で起こっても、それに伴うせん断ひずみの進行は一定速度ではなく、条件によって一度減速してから崩壊に至る場合もあることが分かった。これは、斜面の変位や傾斜角を監視しているときに、その辺加速度が緩んだからといって、必ずしも安全な状態になったわけではないことを示している。
|
Research Products
(8 results)