2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21686068
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
市川 貴之 Hiroshima University, 先進機能物質研究センター, 准教授 (10346463)
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Keywords | 水素吸蔵材料 / メカニカルアロイング / 電池 |
Research Abstract |
リチウムイオン二次電池において負極材料として研究がすすめられているリチウム吸蔵合金を水素貯蔵材料としてとらえ,水素貯蔵技術の新たなカテゴリーを創出することを目的として研究を進めている。平成21年度はその第一歩として,リチウムを高容量に含むシリコンに注目して研究を行った。合金の作製方法としてメカニカルアロイング法を採用し,Li4Siを合成してその水素吸蔵放出特性を評価した。結果として,水素化にともなって一相の固相が二相に不均化し,シリコンとリチウムが取り得る合金組成(Li12Si7, Li7Si3, Li13Si4, Li22Si5)のそれぞれの間で異なる熱力学特性を示すことを明らかにした。一方,電気化学的手法も用いて,金属中のリチウムを吸蔵放出させることにも成功した。結果として,リチウムを吸蔵した金属を中心に,電気化学反応では,より不安定なリチウムイオンの形で抜き出すこと,水素化をともなう熱力学反応では,より安定な水素化リチウムの形で抜き出すことが可能となり,双方でコンシステントな結果を得ることができた。水素貯蔵特性に目を向けた場合,反応温度は500℃と高いが,5%以上の水素を吸蔵放出させるこが可能であることが明らかとなった。水素化リチウムが持つ水素を吸蔵放出するためには,通常は700℃以上の温度でのみ制御可能であったが,本研究により,リチウム水素化物中に含まれるこの安定かつ多量の水素を,リチウム吸蔵合金を媒介とすることで容易に水素を吸蔵放出させることができることを明らかにした。このように,リチウム吸蔵合金を用いた新たな機構の水素貯蔵反応系を提案できたため,今後この新たなカテゴリーに含まれる水素貯蔵材料を系統的に研究していきたい。
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