Research Abstract |
リチウムイオン二次電池において負極材料として研究がすすめられているリチウム吸蔵合金を水素貯蔵材料としてとらえ,水素貯蔵技術の新たなカテゴリーを創出することを目的として研究を進めている。平成22年度は,平成21年度に明らかにしたシリコン-リチウム系材料の熱力学特性と,この材料をリチウムイオン電池の負極材料として用いた際の電気化学特性との相関性を明らかにした。またシリコン系材料に加えて,リチウムと合金化することが知られているアルミニウムおよびゲルマニウムについても同様に水素貯蔵特性を評価した。結果として,アルミニウム-リチウム系においては,Li_3Al_2+3/2H_2⇔3LiH+2Alの反応が進行することが明らかとなり,リチウムの吸蔵・放出にともなって,3.8質量%の水素が可逆に出入りすることが明らかとなった。一方,ゲルマニウム-リチウム系においても,3質量%程度の水素が可逆に出入りすることが明らかとなったが,X線回折の結果から相同定には至らなかったものの,Li_<22>Ge_5+x/2H_2⇔Li_<(22-x)>Ge_5+xLiHの反応が進行し,Liの吸蔵・放出がみられたと思われる。さらに,第三元素を添加した効果もシリコン-リチウム系材料に,微量のスズ,炭素,アルミニウム,ニッケル,ランタンを添加し,水素吸蔵放出特性の評価を行った。これらの結果を精密に解析することにより,水素貯蔵材料としての熱力学特性制御,およびリチウムイオン二次電池の負極材料としての電池特性制御技術に関する指針に結び付けて行きたい。
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