Research Abstract |
リチウムイオン二次電池において負極材料として研究がすすめられているリチウム吸蔵合金を水素貯蔵材料としてとらえ,水素貯蔵技術の新たなカテゴリーを創出することを目的として研究を進めている。平成23年度は,種々の混合比におけるLiSi合金の生成条件について整理するとともに,Siと同族のGeに注目して,Li-Ge合金の水素吸蔵放出特性に注目し,詳細な調査を行った。 原子比でLi:si=4:1程度に秤量してメカニカルアロイング処理を施した場合,Li:si=3.75:1相が生成されることが明らかとなった。また,Li量がそれより少ない場合も同様にLi:Si=3.75:1相が生成し,Siが残存する結果となることが明らかとなった。Li-si系の二元相図からは,Li:si=4.4:1が安定状態として,生成されると予測されたが,メカニカルアロイング処理では准安定相としてLi:Si=3.75:1相が生成することが明らかとなった。一方,メカニカルアロイング処理として,、容器体積を10倍程度とした場合,等価な条件でミリング処理を施したにもかかわらず,安定相としてLi:Si=4.4:1の相が現れることも明らかとなり,メカニカルミリング処理の新たな可能性を示唆するものであると考えられる。 一方,Li-Ge合金の場合,同様にLi:Ge=3.75:1が准安定相として現れるが,容器に関する条件を変化させても,Li:Ge=4.4:1の相は現れないことが明らかとなった。また,水素化にともなって,水素化リチウムを生成しながら,二段階のプロセスでLi:Ge=2.35:1の相と,その後に,Li:Ge=2:1の相が得られることが明らかとなり,Li-Siの系と同様に,水素化リチウム中の水素を,比較的低温で取り出すための指針を得ることができた。
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