2010 Fiscal Year Annual Research Report
匂い物質結合蛋白質による昆虫の行動制御のメカニズム
Project/Area Number |
21688003
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松尾 隆嗣 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (70301223)
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Keywords | 化学感覚 / 進化 / 食性 / ショウジョウバエ / OBP |
Research Abstract |
ショウジョウバエの食性の進化に関わる匂い物質結合蛋白質、OBP57dとOBP57eの分子機能を明らかにするため、前年度に引き続いて大腸菌による匂い物質結合蛋白質の合成を行った。ショウジョウバエのOBP57dとOBP57eはこれまで報告されているOBPよりも大腸菌での発現が難しく、正しい形で回収することがきわめて困難であった。そこで不溶画分から変性・再構成を経て正しい立体構造を持つタンパクを回収するための条件を検討・確立することに成功した。得られたタンパクは予想された位置にS-S結合をもつことをLC-MS解析により確認した。これらの合成OBPを用いて蛍光分光光度計を用いたin vitro結合解析の手法を確立した。OBP57dとOBP57eはこの場合も他のOBPと異なり、1-NPNを用いた間接的結合解析ができなかったので、内在性の蛍光を利用した手法を用いた。さらに、進化的に保存されたアミノ酸を置換した改変OBPを合成・精製し、in vitro結合解析により分子機能の変化を測定した。その結果、これらのアミノ酸は1.正しいOBPの立体構造の形成に必要なもの2.OBPの結合活性に必要なものの2つのグループに分けられることが明らかになった。 感覚器における神経細胞レベルでの匂い物質結合蛋白質の機能を明らかにするため、電気生理学的手法を用いてキイロショウジョウバエのObp57d冨およびのObp57bノックアウト系統の味覚応答を解析した。その結果、薄い塩刺激に対する応答が亢進していることが明らかになった。
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