2009 Fiscal Year Annual Research Report
精神科看護師を介在した児童・思春期のメンタルヘルス教育の開発に関する研究
Project/Area Number |
21689055
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
篁 宗一 Tokyo Health Care University, 医療保健学部, 講師 (60362878)
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Keywords | 早期介入 / 精神保健 / 児童・思春期 |
Research Abstract |
援助希求行動を増進させる効果が確認された中学生のメンタルヘルス教育(平成18-20年:若手B)を活用し、本年度は児童期の小学生版メンタルヘルス教育プログラムとして再構成し効果評価した。 メンタルヘルス教育は45分×2限とした。1限目はストレスと精神疾患、2限目は相談場所をテーマに、参加型・体験型の講義を展開した。東京医療保健大学の倫理審査委員会の承認を得て行った。 結果としてA県の小学校2校の6年生、119人にアンケート用紙を配布し115人から回答を得た。a校64人、b校49人で、男子47人、女子66人であった。介入群は70人、対照群は43人であった。悩みを相談出来る人数は「2~4人」と答えた児童が全体で55.9%、悩み・精神的に調子が「1回以上」よくなかったと答えた児童は全体で52.8%であった。教育前後の得点の比較から「精神疾患の知識」の介入群の平均値は介入前9.9点、後14.0点であり有意な差がみられたが(t=-9.88、P<0.001)、対照群ではみられなかった。「悩みを相談出来る場所についての知識」の介入群の平均値は、介入前後で有意な差がみられたが(t=-4.10、P<0.001)、対照群ではみられなかった。ストレスコーピング尺度における「サポート希求」の一項目では、介入群の平均値は介入前が1.9点、介入後2.3点であり、有意な差がみられた(t=-3.07、P=0.003)。介入群では、精神疾患についての知識、悩みなどを相談出来る場所についての知識の全項目で、介入後の得点の上昇がみられたことから、対象児童が今後悩みを抱えた際の相談につながる可能性が示唆された。思春期を迎える前の児童期に、精神健康を損ねた際の対応をあらかじめ教育しておくことは、早期介入の視点から予防効果が高まることが予想される。次年度以降は対象校を増やり、実施時期を変更して効果をフォローする必要がある。
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Research Products
(3 results)