2009 Fiscal Year Annual Research Report
数値解析による頭部周辺の音場解析と個人性要因の解明
Project/Area Number |
21700128
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大谷 真 Shinshu University, 工学部, 助教 (40433198)
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Keywords | バーチャルリアリティ / 音像定位 / 仮想聴覚ディスプレイ / 頭部伝達関数 |
Research Abstract |
簡略化された頭部形状を持つ擬似頭のHRTFを境界要素法による数値計算と実測によって取得し,それらを比較することで,「胴体の有無」がHRTFに与える影響について検討を行い,1)胴体の存在によって主に低域周波数でスペクトルにノッチ(谷)が生じること,が明らかになった。また,実際の人の頭部の磁気共鳴画像による形状計測と光造形装置を用いて実頭を模した擬似頭を作成するとともに,同様の形状を持つ数値計算用頭部モデルを作成し,数値計算・擬似頭による実測・実頭による実測の三者の結果の比較を行った。その結果,2)実頭を対象とした場合にも,前述の「胴体の有無」による影響が生じることが確認され,3)毛髪や皮膚の吸音特性がHRTFに与える影響は小さく,また,胴体の影響は別途考慮する必要があるものの,4)音像定位に重要な役割を果たすとされる高域のスペクトル上のノッチは概ね再現された。また,定位実験を行った結果,音像定位精度及び頭外定位率において,計算値と測定値の間でその結果にほぼ違いはなく,頭部表面を音響的に剛(完全反射)と仮定したBEMによる数値計算によって,心理的・物理的両面から見て高精度なHRTFの推定が可能であることが明らかになった。数値計算において耳介形状に変化を与える際にターゲットとする部位を明らかにするために,予備的検討として実耳の各部位を充填し,耳介形状を変化させた場合のHRTF測定及び音像定位実験を行った。その結果から,5)特に仰角方向の音源の定位において重要な役割を果たす耳介部位が示唆された。
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Research Products
(2 results)