2010 Fiscal Year Annual Research Report
数値解析による頭部周辺の音場解析と個人性要因の解明
Project/Area Number |
21700128
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大谷 真 信州大学, 工学部, 助教 (40433198)
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Keywords | バーチャルリアリティ / 音像定位 / 仮想聴覚ディスプレイ / 頭部伝達関数 |
Research Abstract |
ヒトの頭部・耳介形状,寸法変化が,両耳間時間差,両耳間音圧差,振幅特性スペクトルといった頭部伝達関数(HRTF)に含まれる物理量に与える影響を明らかにするために,磁気共鳴画像により得られた耳介コンピュータモデルと数値シミュレーションを用いて耳介キャビティ内で生じる共鳴現象を観察し,共鳴が周波数特性上に現れるノッチ(谷)やピーク(山)といった特徴の生成にどのように寄与しているのか検証した。その結果,HRTFの振幅特性にノッチが生じる周波数では,耳介キャビティ内に,1本の節を持つ1次モード,平行な2本の節を持つ2次モード,2本の平行な節とそれに直交する1本の節を持つ(1,2)モードのいずれかが発生しており,ノッチが生じる際には耳介キャビティ内において発生するモードの次数には共通したパターンが見られることが明らかになった。外耳道入口に共鳴の節が存在する場合にHRTFにノッチが生じるが,節の位置によって決定されるモード形状は,音源位置や周波数によって敏感に変化し,このことが音源位置によって大きく変化するHRTFのノッチの現れ方の原因となっていることが分かった。また,耳介の一部を吸音性としたシミュレーションの結果から,耳介上部(耳甲介艇・舟状窩)の形状がノッチ生成に大きな影響を持っていることが分かった。さらに,耳介細部を粘土で充填した場合のHRTFの測定結果や主観実験(音像定位実験)によって同様の結果を得ており,耳介,特にその上部の構造がHRTFの主要な物理的特徴,そして音像定位に大きな影響を与えていることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)