2009 Fiscal Year Annual Research Report
ユーザの利用意欲を考慮した、実利用環境でのユーザビリティ評価構造の解明
Project/Area Number |
21700141
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Research Institution | Advanced Institute of Industrial Technology |
Principal Investigator |
安藤 昌也 Advanced Institute of Industrial Technology, 産業技術研究科, 助教 (70513729)
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Keywords | ユーザビリティ / 長期的ユーザビリティ / ユーザエクスペリエンス / 自己効力感 / 製品関与 / 製品評価構造 / ハードディスクレコーダ / 操作ログ |
Research Abstract |
本研究は、日常の実利用環境でユーザが実感する製品評価が、どのような評価基準で行われるのか、その心理的な構造を明らかにすることが目的である。特に、インタラクティブ製品に対するユーザの利用意欲に着目し、利用意欲の程度が評価に及ぼす影響を解明することにある。 本年度は、HDDレコーダを対象とした。これは、操作が複雑でありユーザスキルによって大きく評価が異なる製品である。また、従来のビデオデッキのメンタルモデルと、コンピュータのメンタルモデルの両方を必要とするものである。まず、HDDレコーダの既存ユーザ(300サンプル)に対しWebアンケートを実施し、ユーザビリティ評価を含むユーザエクスペリエンス(UX)評価の評価尺度を構成した。同時にユーザの利用意欲を測定する2つの尺度(自己効力感尺度、製品関与尺度)を用いて意欲の強度を測定した。 この結果、UX評価の各因子について、自己効力感と製品関与の二要因分散分析を行ったところ、いずれも有意な結果が示された。つまり、利用意欲が高い人ほど、UX評価が高くなることが分かった。 次に、7名の実験協力者を用いたユーザビリティテストを行った。このテストは、より日常的な操作を想定し、発話思考法等を用いず自由な操作をしてもらった。タスクは6種類を用意した。なお、操作を分析するために、操作ログとGUI画面を同時に取得するツールを用いて操作データを取得した。その結果、マグニチュード推定法によって測定した主観的ユーザビリティ評価に対しては、操作ステップ数が最も有意だった。だが、自己効力感についても10%の有意傾向ではあるが、影響が示唆された。これらのことから、利用意欲を構成する2つの要因のうち、自己効力感は実際の操作によって感じる使いやすさという比較的短期的な評価に影響を与える可能性があり、製品関与は製品全体の利用体験について影響を与える可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)