2011 Fiscal Year Annual Research Report
残響下で高齢者や非母語話者に明瞭な録音音声・肉声による拡声音声の調査
Project/Area Number |
21700203
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
程島 奈緒 東海大学, 情報通信学部, 講師 (40453609)
|
Keywords | 音声 / 高齢者 / 雑音 / 残響 / 発話 / 明瞭度 / 公共空間 |
Research Abstract |
本研究のゴールは、駅や空港などの残響がある公共空間で聞き取りやすい音声案内を作成することである。人は周囲の音環境に応じてより明瞭になるよう発話を変化させることから、本研究では雑音や残響下で発話した音声案内の方が、一般的な静かな環境で録音・合成されている音声案内よりも、公共空間で聞き取りやすくなることを提案する。初年度と珠年度の研究結果から、雑音や残響下で発話した音声の方が、静かな環境で発話した音声と比べて、 1)周波数・時間・振幅などの音響的な特徴量が有意に変化し、音声生成の面で発話の適応が示された。 2)若年者が雑音・残響下で聞いた時に、単語了解度が有意に上昇し、提案手法の効果が確認された。 今年度は、高齢者24名に対して提案手法の効果があるかを調査した。実験結果から、雑音や残響下で発話した音声の方が、静かな環境で発話した音声よりも、残響下での単語了解度が有意に高くなった。発話者と聴取者で、聴取する残響条件が異なる場合(残響時間の違い)や、聴取する音環境が異なる場合(雑音下で発話した音声に残響を付加して聴取者に提示)においても、提案方法の効果が確認された。提案手法による単語了解度の上昇は、残響条件によって異なった。 以上より、静かな環境で録音・合成した音声案内を拡声する従来の方法よりも、公共空間に存在する雑音や残響を聞きながら発話された音声を拡声する提案手法の方が、音声案内が聞き取りやすくなる可能性が示された。その際に使用する雑音や残響条件は、拡声先の雑音や残響条件と必ずしも同じである必要はなく、様々な音環境を持つ公共空間により柔軟に応用できる可能性が示された。若年者と高齢者では提案手法によって明瞭となる雑音・残響条件が異なったため、提案手法がより多くの利用者に有効な範囲を今後検討する必要がある。
|
Research Products
(3 results)