2009 Fiscal Year Annual Research Report
社会技術相互作用ネットワークから見たプレプリントアーカイブに関する総合的研究
Project/Area Number |
21700267
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三根 慎二 Nagoya University, 附属図書館, 助教 (80468529)
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Keywords | プレプリントアーカイブ / arXiv / 高エネルギー物理学 / 学術雑誌 / 電子ジャーナル / 科学コミュニケーション / 学術情報流通 / オープンアクセス |
Research Abstract |
本年度は,紙のプレプリントの作成・流通状況を把握することを目的として,高エネルギー物理学の代表的文献データベースSPIRES-HEPに1969年から1991年に収録された全プレプリント約23万件を対象に以下の4項目に対して調査を行った。1登録件数プレプリントの登録件数は,減少する年もあるが全体としては増加傾向にあり,1991年には約1.8万件が登録されていることがわかった。2学術雑誌掲載率ある年に作成されたプレプリントがその後学術雑誌等に掲載される割合は,最小25.3%,最大59.1%,平均で51.8%であり,1975年以降になると一貫して50~60%前後を示しており,増加傾向にはなかった。3プレプリントの掲載先学術雑誌等に掲載されたプレプリントは,(1)564異なりタイトルに掲載され,(2)掲載数上位のタイトルは上から,Physics Letters B, Physical Review D, Nuclear Physics B, Physical Review Letters, Progress of Theoretical Physicsであり,(3)これら5タイトルで全体の4割強を占め,33タイトルで8割を占めていることがわかった。4即時性プレプリントが学術雑誌等で刊行されるよりもどれだけ早くあるいは遅く作成されたかを調査した結果,全体では作成年と刊行年が同じ年であるものが56.5%と最も多く,次いで刊行より一年以上前が30.4%,一年以上後が13.1%であることがわかった。学術雑誌刊行後一年後に登録されるプレプリントは1980年代初頭まではごくわずかであったが,その後その割合が増加していることがわかった。
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