2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700283
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋爪 寛 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60506640)
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Keywords | 脳・神経 / 認知科学 / 音声学 / 小児 / 発達 |
Research Abstract |
本研究の目的は、6歳から18歳の健常な小児を対象に、外国語学習に重要となる外国語音声の模倣に関与する神経基盤、および小児の発達によってそれらがどのように変化するのかを、fMRIを用いて明らかにすることである。この目的を達成するために、研究実施計画に基づき、本年度は、前年度で取得されたfMRIデータを用いて、小児が外国語音声模倣を行う際に成人と同様の神経基盤を使っているか、またそのような神経基盤があるとするならば、そこでの脳活動が発達とともにどのように変化するかを明らかにするために(研究課題1)、小児被験者全員分のデータを用いて、外国語音声模倣に固有に活動する神経基盤の特定を試みた。しかしながら、この解析では、母国語と外国語に対する脳活動に有意な差が見られず、研究代表者の成人対象の先行研究結果とは異なり、外国語音声模倣に固有に活動する神経基盤は同定することができなかった。この結果は、年齢とともに脳活動が大きく変化していることで、幅広い年齢幅をもつ被験者群全体では、外国語音声模倣に固有の神経基盤が同定できなかった可能性を示唆していると考え、次に、成人対象実験で明らかになった外国語音声模倣に固有に活動する脳領域を小児の関心領域にとり、脳活動と年齢の相関を調べたところ、左下前頭回弁蓋部の脳活動に、年齢との有意な正相関が見つかった。また、各母国語話者による、外国語音声模倣の巧さの評価スコアは、年齢と有意な正相関を示している一方で、脳活動とは有意な相関がなく、年齢にともなう脳活動の変化を説明できなかった。この結果は、音声模倣の巧さとは直接関係しない、何らかの音声模倣機能が年齢変化していることを示唆しており、未だ明らかになっていない小児の外国語音声模倣の神経基盤の年齢変化を示す重要な知見が得られたと考えられる。
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Research Products
(2 results)