2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700339
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長谷川 潤 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (10332230)
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Keywords | 神経細胞 / 発生 / マウス / ホスファチジルエタノールアミン / フリップ・フロップ |
Research Abstract |
本年度は、ホスファチジルエタノールアミン(PE)の神経突起伸長における役割について検討した。 昨年度までに、通常は細胞膜内層に存在するPEが、神経突起の先端部においては細胞膜外層に多く露出しているのを見出した。このことから、神経突起先端部ではPEのフリップ・フロップが盛んに起きていることが考えられる。そこで本年度は、PEの細胞膜内での動態を制御する酵素であるフリッパーゼの同定を試みた。現在知られているフリッパーゼおよびその補因子であるcdc50ファミリーの因子群の発生期神経細胞での発現を、RT-PCR法により検討した。さらにRT-PCR法による検討で陽性であったフリッパーゼおよびcdc50因子を初代培養神経細胞に発現させ、神経細胞の形態がどのように変化するかを観察した。その結果、ATP9Aおよびcdc50Bを過剰発現させると、コントロールに比べて総神経突起長が優位に長くなることが分かった。 また、ホスファチジルエタノールアミン合成の律速酵素であるエタノールアミンキナーゼ-1(Eki-1)の役割を検討した。胎生期マウスにおけるEki-1の発現をin situ hybridization法により検討したところ、Eki-1は胎児期の神経系に強く発現していることが分かった。Eki-1を初代培養神経細胞に発現させたところ、Eki-1の過剰発現細胞はコントロール細胞に比べ、神経突起が長くなることが分かった。以上のことから、胎児期の神経系におけるEki-1の強い発現は、神経突起の効率的な伸長に重要であることが示唆される。
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