2010 Fiscal Year Annual Research Report
GPCRシグナル・クロストークによるシナプス可塑性制御の分子機構
Project/Area Number |
21700359
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
上窪 裕二 順天堂大学, 医学部, 助教 (80509670)
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Keywords | Gタンパク質共役型受容体 / シナプス伝達 / 代謝型グルタミン酸受容体 / アデノシン受容体 / 長期抑圧 / 小脳 |
Research Abstract |
異種のGタンパク質共役型受容体(GPCR)が細胞膜上で複合体を形成し、直接あるいは下流のシグナル分子を介した相互作用によって単独の場合とは異なったシグナル伝達を行う事が示唆され注目されている。我々は、シナプス伝達効率の制御に関わる代謝型グルタミン酸受容体(mGluR1)とアデノシン受容体(A1R)に注目し、生理学的、生化学的な検討を行った。シグナル伝達については培養神経細胞を標本とし、生化学的な評価は神経系株化細胞を標本として解析を行った。培養小脳プルキンエ細胞を用いてmGluR1とA1Rのシグナル・クロストークについてカルシウムイメージングを用いて評価を行い、A1Rの活性化がmGluR1の活性化による細胞内カルシウム濃度上昇に影響を与えることが明らかとなった。また、A1Rの活性化によるmGluR1シグナルの制御がmGluR1依存的なシナプス可塑性に影響を与えることが明らかとなった。mGluR1とA1Rを特異的に認識する抗体を作成し、免疫沈降による解析を行いmGluR1とA1Rが複合体を形成していることを明らかにし、その相互作用メカニズムの一部を解明した。本計画で注目したmGluR1やA1Rは記憶・学習や疼痛などと深く関わっている。これらの相互作用メカニズムの解明は覚醒レベルや気分などの神経活動状態の変化における記憶・学習の変調機構や疼痛伝達制御のメカニズムの解明につながるものである。 GPCRは生体内において様々な生理作用に関わっており、細胞膜表面における相互作用は創薬の標的となる可能性がある。
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