2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイネルト基底核の誘発する大脳可塑性が大脳皮質微小回路へ及ぼす作用の解明
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21700374
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高田 則雄 独立行政法人理化学研究所, 平瀬研究ユニット, 研究員 (50415212)
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Keywords | グリア細胞 / 2光子顕微鏡 / アセチルコリン / 皮質可塑性 / カルシウム / イメージング / 長期増強 |
Research Abstract |
「大脳皮質と皮質下神経核との相互作用の解明」を通して、脳をシステムとして理解することを目指して研究している。本研究課題では、コリン作動性神経核であるマイネルト基底核[NBM]の誘発する大脳可塑性が、大脳皮質微小回路にどのように影響しているのか研究した。初年度である平成21年度には、麻酔下動物の大脳皮質において長期可塑性[LTP]を誘導する系を構築した。具体的には、麻酔下マウスのNBMを電気刺激するのと同時に体性感覚刺激(ヒゲ)を行うことで、大脳皮質バレル野におけるLTP誘導に成功した。この系を用いて次年度かつ最終年度である平成22年度には、LTP誘導中のグリア細胞活動を2光子顕微鏡観察によって二次元可視化解析した。この結果LTPの誘導最中にグリア細胞が活発にカルシウム活動していることを発見した。さらに、グリア細胞のカルシウム活動に必須な蛋白質を欠損させた遺伝子改変マウス[KOマウス]を用いて同様の計測を行った。この結果KOマウスにおいてグリア細胞のカルシウム活動が消失していることを確認した。驚くべき事にKOマウスにおいてNBM刺激に対する神経細胞の応答は正常にも関わらず、NBM刺激とヒゲ刺激とを同時に与えてもLTPは生じないことを発見した。これらの結果はLTPの誘導にグリア細胞のカルシウム活動が必須であることを示唆する。本研究は、皮質可塑性に神経細胞のみならずグリア細胞の活動が必要であることを、生きたままの動物で初めて示した点で重要である。
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Research Products
(3 results)