2010 Fiscal Year Annual Research Report
力学環境に適応する血管壁リモデリングメカニズムの工学的モデルの構築
Project/Area Number |
21700457
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂元 尚哉 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20361115)
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Keywords | 生物・生体工学 / 生物物理 / 細胞・組織 / 力学刺激 / リモデリング / 血管内皮細胞 / 細胞外基質分解酵素 |
Research Abstract |
1.せん断応力に対する内皮細胞のMMPおよびTIMP産生変化 内皮細胞に流れ刺激負荷を行い細胞外基質分解酵素であるMMPと抑制因子であるTIMPの産生変化を調べた.低せん断応力環境である0.1Paから高せん断応力環境を想定した10Paまでのせん断応力を内皮細胞に24時間負荷した.その後培養液中に含まれるMMP-1,-2,-9および抑制因子TIMP-1,-2量をウェスタンブロッティング法およびドットブロッティング法にて評価した.1~2Paを中心にして,せんだん応力値の増加および減少に伴いに全てのMMP産生量およびTIMP-1産生量の増加が見られた.それぞれのMMP活性をさらに検討するためMMPとTIMPの比を評価した結果,1~2Paのせん断応力環境でMMPとTMIPの比が最も低くなった.生理的なせん断応力環境においてMMP活性が抑制されていることが示唆された. 2.せん断応力勾配負荷による内皮細胞の機能変化 前年度作製した空間的せん断応力勾配を内皮細胞に負荷できるT型フローチャンバを用いて,せん断応力勾配が内皮細胞機能に及ぼす影響を調べた.せん断応力負荷後,リアルタイムPCRを用い,MMP-1,-2,-9およびTIMP-1,また血管壁リモデリングに係わる炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-1,腫瘍壊死因子(TNF)-・,一酸化窒産生酵素(NOS)の内皮細胞mRNA発現を調べた.勾配がない環境に比べせん断応力勾配の存在によりMMP-9,IL-1,TNF-・・発現量の増加,NOSおよびTIMPの減少が見られた.せん断応力の大きさだけでなく,せん断応力勾配の存在も内皮細胞機能に影響を与えることが明らかになり,せん断応力勾配が存在する環境では内皮細胞の血管壁リモデリング機能が変化し病変形成が引き起こされる可能性が示唆された.
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Research Products
(14 results)