2010 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化形成過程における単球浸潤部位への内皮細胞PECAM-1局所輸送機構の解析
Project/Area Number |
21700476
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
橋本 謙 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80341080)
|
Keywords | 動脈硬化 / 血管内皮細胞 / 単球 / PECAM-1 / VE-cadherin |
Research Abstract |
動脈硬化病変形成の初期過程においては、血中を循環する白血球の一種である単球が、傷害を受けた血管内皮細胞に接着し、内皮下組織へ浸潤・蓄積することで病変が形成される。単一の単球接着・浸潤プロセスについては徐々に分子機構の解明が進んでいるが、一つの浸潤イベントがその後の単球の浸潤活性に与える影響については殆ど知られていない。本研究では、培養血管内皮細胞へのヒト単球の2段階添加実験を行ったところ、1度目の単球添加に比べて2度目では有意に浸潤率が上昇していた(約1.5倍)。フローサイトメーターを用いた解析では、単球の添加により内皮細胞間隙において間隙分子であるPECAM-1の発現が有意に増加、VE-cadherinの発現が有意に減少しており、このことが単球の添加2度目における浸潤率の上昇を招く機構であることが示唆された。PECAM-1について,その局所分子動態を詳細に解析する為、GFPを付加した融合組換えベクターを構築して内皮細胞内に発現させて解析したところ、単球の浸潤完了後、浸潤部位周囲に内皮細胞PECAM-1が徐々に集積することが明らかとなり、このことが同一部位での次の単球の浸潤を促進していることが示唆された。以上より、単球の浸潤によって起こる内皮細胞間隙分子の構成変化(PECAM-1の増加、及びVE-cadherinの減少)が次の単球の浸潤を促進し、このことが動脈硬化における長期的な単球の蓄積につながっている可能性が考えられた。
|