2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性微小空間を付与したDNA金ナノ粒子を用いる有害金属イオンの簡便・迅速検出
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21700495
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金山 直樹 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (80377811)
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Keywords | DNA / 金ナノ粒子 / 重金属イオン / ミスマッチ塩基対 / 非架橋凝集 |
Research Abstract |
昨年度の研究過程において,DNA二重鎖担持金ナノ粒子表層に導入したチミン-チミン(T-T)ミスマッチの導入位置が,水銀イオンに応答したDNA二重鎖担持金ナノ粒子の分散安定性の低下の程度に大きく影響することがわかった.本年度は,主にこのT-Tミスマッチペア導入位置の依存性に関し,その原因を探るとともに,水銀イオンに応答したDNA二重鎖担持金ナノ粒子の非架橋凝集現象のメカニズム解明に関する検討を行った.水銀イオンは金ナノ粒子表層のDNA二重鎖内のT-Tミスマッチ部位においてT-Hg^<2+>-T塩基対を形成しているものと考えられる.この塩基対形成に伴うDNA二重鎖の安定性変化を融解温度を指標として調べたところ,T-Tミスマッチの導入位置に依存してT-Hg^<2+>-T塩基対形成に伴うDNA二重鎖の安定化に差が見られた.T-Tミスマッチを自由末端に有するDNA二重鎖は,水銀イオンの添加による融解温度変化が殆ど見られず,自由末端から2番目ないし3番目の位置にT-Tミスマッチを有するDNA二重鎖は水銀イオンの添加により約8~12℃の有意な融解温度の上昇が認められた.このことは,自由末端ではT-Hg^<2+>-T塩基対が安定に保持できない,あるいは形成されないことを示唆しており,自由末端にT-Tミスマッチを有するDNA二重鎖担持金ナノ粒子が水銀イオン応答性を示さなかったこととも良く一致する.一方,融解温度が上昇した自由末端から2,3番目の位置にT-Tミスマッチを有するDNA二重鎖は,T-Hg^<2+>-T塩基対形成に伴いDNA鎖の自由末端近傍が剛直化していることが考えられ,これがDNA二重鎖担持金ナノ粒子間のエントロピー反発力の低下,さらには分散安定性の低下を招いたものと結論づけた.このことは,DNA二重鎖自由末端の柔軟性変化がDNA二重鎖担持ナノ粒子の非架橋凝集を引き起こす主たる要因であることを示している.
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Research Products
(3 results)