Research Abstract |
いびきは閉塞型無呼吸症候群(OSA)の最も代表的な症状であり,OSA診断・スクリーニングが目的であるいびき検査は,多項目の臨床データを必要とする睡眠ポリグラフ検査に代わるものとして期待されている。このようなことから,いびき解析による精度の高いOSAスクリーニング方法を構築することは重要な研究課題である。 本研究では,これに関連する下記の課題について検討している。1.雑音耐性に優れたホルマント周波数解析によるOSAスクリーニング,2.自己組織化マップ(SOM)を用いたいびき音のクラスタリングに関する基礎検討,3.ニューラルネットワークを用いたいびきに関連する音の抽出,4.高周波数成分の調査によるOSAいびきと単純いびきの比較,以上の結果,(1)自己相関関数の雑音低減能力を用いて,いびきのホルマント周波数抽出法の雑音耐性を向上させる方法を提案し,提案法の有効性を確認することができた。また,18人のいびきの第一ホルマント周波数を基にROC解析を行い,OSAの診断における診断能の評価を行うことにより,高い診断能(感度:88.9%,特異度:88.9%,AUC:0.85)を得ることが出来た。(2)SOMを用いていびきの音素クラスタの境界数を求める方法を提案した。40人から得られたクラスタの境界数をもとにROC解析を行い,診断能の評価を行うことにより,AUC:約0.8の高い診断能を得ることが出来た。(3)睡眠中に録音されるデータには,背景音,いびきに関連する音が含まれる。録音データから,いびきに関連する音のみを分離する方法を提案し,録音データに対するシミュレーションにより,提案法の有効性を確認することができた。(4)いびきの音声スペクトルは5kHz以下で特徴付けられると考えられているが,5kHz以上の高い周波数成分を調査することでも,OSAいびきと単純いびきを分類できる可能性が得られた。
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