2009 Fiscal Year Annual Research Report
クロモグラニンAを用いた呼吸運動同調現象中の自律神経解析
Project/Area Number |
21700547
|
Research Institution | Nihon institute of Medical Science |
Principal Investigator |
解良 武士 Nihon institute of Medical Science, 日本医療科学大学・保健医療学部, 准教授 (50449435)
|
Keywords | 運動呼吸同調現象 / クロモグラニンA / 呼吸筋酸素摂取量 |
Research Abstract |
運動呼吸同調現象(LRC)は呼吸と運動が同調する現象で、運動療法への応用が期待されている.LRCの効果については、様々な面から研究が行われているが、その生理学的な検証は十分ではない。本研究の目的は、自律神経系の評価として唾液クロモグラニンAの測定を用い、LRCによる自律神経系への影響を検討することである。対象者は健常大学生8名(20.3±0.5歳)とし、被験者の自由に任せた呼吸数とクランク回転数で運動させた場合と、クランク回転に一致した音刺激にて呼吸のタイミングを指示しながら運動させた場合で比較した。まず自由呼吸下で7分間の無酸素性作業閾値レベルの定常運動を行い、さらに連続して300mlおよび500ml死腔負荷による呼吸筋酸素摂取量の評価を行った。唾液クロモグラニンAは300ml死腔負荷の最後の1分、500ml死腔負荷の最後の1分、運動終了4分後に測定した。続いてLRC誘発下で同様の運動負荷を行った。結果、LRC誘発下ではLRC発生率が有意に増加したが、酸素摂取量、呼吸筋酸素摂取量、呼吸困難感の改善の程度には一定した傾向が見られなかった。またクロモグラニンAはLRCを誘発しても一定した変化を示さず、さらに死腔負荷を加えても呼吸困難感の増加とは関係なく変化しなかった。これらの結果から、これまでの報告通りLRCによる利得は個人差が大きく、今回の結果からは自律神経系の影響は明らかにならなかった。しかし、死腔負荷による呼吸困難感増大に対してもクロモグラニンA濃度が変化しなかったことから、呼吸困難感の発生には心的ストレスよりも機械的ストレスのほうが関係する可能性が示唆された。
|