Research Abstract |
全国的に実施されている教育実習では,現職教師の指導の下,実習生の教授技術育成が図られており,千葉大学保健体育科においても教員養成カリキュラムが組まれている。しかし,ここでの実践が実際の教育実習に生きており意味のあることなのかは把握できていなかった。そこで,本研究は,大学における実習前の効果的なカリキュラムを検討・実践すると同時に,教育現場が大学教育に求めるニーズを把握し,より実践的で一貫性のある指導体制を検討することとした. まず,模擬授業ではマイクロティーチングの手法を取り入れ,成果を指導言(大西,1991)の視点から分析した。1回目は教師役が説明・指示のみ行い発問せず一度に多くの情報を投げかけていたが,反省会と2回目を通して,発問が増え用いる文章が短文で端的になった。次に,附属学校における教育実習では,対象学生の授業を全て録画し授業の実態を捉えたところ,結果,授業では相互作用行動が時間を追うごとに増えていったものの,学習内容に直接関係のないマネジメント時間は減少せず,教育実習のさらなる課題が明らかになった。次に授業後の反省会内容を録音し指導教官の指導内容と実習生の反省内容を,計7時間59分の反省会を文章化して分析した結果,実習生が授業全体をマネジメントしながら個々の生徒の指導を行うことや,運動のできていない生徒へ適切な言葉かけを行うことに難しさを感じることがわかった。また,指導教官が安全性への言及と生徒の自主性を高める授業のしくみについて指導を行っていることもわかった。最後に,附属学校の教員を対象に全29項目の「教員養成課程におけるカリキュラムに関するアンケート」の調査を行った。結果,附属学校の教員は,指導案の書き方を身につけてきてほしい(小中双方),小学校は評価の仕方,中学校は生徒指導の方法と保健についての理論を学んできてほしいと考えている傾向が強いことがわかった。
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