2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700696
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
森島 真幸 大分大学, 医学部, 助教 (40437934)
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Keywords | 自発運動 / モノアミン / 心臓自律神経活動 / 心拍変動 |
Research Abstract |
本研究は、生まれつき自発運動への欲求が正常Wistarラットよりも強い自然発症の高運動性モデルラットSPORTSを実験のツールとして用いて、運動意欲の制御に関わる脳内分子基盤の解明を目指すと同時に、心臓自律神経活動への影響を解析することにより、神経性因子を介した自発運動の制御と心機能の連関作用を生理学的に実証することを目的とした。平成22年度の事業では、対照ラットの腹腔内に各種薬剤(α遮断薬、β遮断薬、モノアミン等)を投与し、中枢及び末梢におけるモノアミン構成を再現あるいは変化させた際のラットの心臓自律神経活動や自発走行量を解析した。対照ラットの腹腔内にモノアミン酸化酵素A(MAOA)阻害薬であるclorgylineを投与して海馬モノアミン量を定量したところ、SPORTSラットと同程度に海馬ノルエピネフリン濃度が増加し、自発運動量や心拍数の増加も認められた。得られた心電図波形から心拍変動スペクトル解析を行い心臓自律神経活動の評価をしたところ、clorgyline投与ラットではSPORTSラットと同様に心拍数の増加が認められた夜間時間帯で交感神経活動指標であるL/H比(Low frequency領域/High frequency領域比)が有意に上昇していることが判明した。一方、心筋に発現するイオンチャネルの発現解析を行った結果、SPORTSラットではL型Ca^<2+>チャネル-Ca_v1.2遺伝子の発現が有意に増加しており細胞内シグナル分子(Akt, PI3K, CREB)のリン酸化が亢進していることが判った。SPORTSラットの心筋におけるこれらの因子の発現増加は、心血管に対し保護的作用を示す可能性が示唆される。このため、clorgyline投与ラットにおいても同様の結果が得られるかについて現在解析中である。今後さらに、自発運動の制御と心拍数制御に関わる分子基盤を確立し、心臓自律神経活動異常を伴わない新規の運動促進因子を同定し、論文として発表する
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Research Products
(3 results)