2009 Fiscal Year Annual Research Report
ホルムアルデヒドフリーのナイロン繊維の黄変防止技術の開発
Project/Area Number |
21700736
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
大江 猛 Osaka Municipal Technical Research Institute, 研究員 (10416315)
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Keywords | ナイロン繊維 / 糖 / 黄変防止 / ホルムアルデヒド / シックハウス症候群 / メラノイジン反応 |
Research Abstract |
本年度では、還元糖およびその酸化物である糖ラクトンをナイロン繊維の末端アミノ基に反応させることによって、黄変の原因物質である芳香族アルデヒドとの反応に対する阻害効果について調べた。はじめに、還元糖であるグルコースとその酸化物であるグルコノラクトンを利用して有機溶媒中で反応を行なった。その結果、加工剤としてグルコースを用いた場合、グルコノラクトンを用いた系よりも短時間で反応が進行し、黄変の原因物質であるバニリンとの反応を効果的に抑制することができた。その一方で、還元糖を用いた系では、副反応であるメラノイジン反応による繊維の着色が僅かに認められた。還元糖自身による変色を防ぐ目的で、各種反応条件について検討を行なったところ、溶媒の種類、反応温度、糖濃度が、繊維の変色および繊維への反応性に大きく影響することが明らかとなった。さらに、ナイロン繊維の反応性に影響のある糖類の分子サイズ(分子量)や、還元糖自身による着色に関係している糖水酸基の立体配置の異なる糖類についても検討を行なった。その結果、より分子量の小さな糖類程、メラノイジン反応の進行が速く、糖の種類によって、繊維の黄変防止の効果が大きく異なった。特に、グルコースの異性体を検討したところ、2位水酸基の立体配置が異なるマンノースを用いた場合、最も効果的にバニリンによる黄変反応を阻害することが明らかとなった。さらに、応用研究として、還元糖を用いた反応を水中で行なったところ、有機溶媒の系とは異なり、反応速度が非常に遅く高温の反応条件を必要とした。さらに、反応温度の上昇に伴い、副反応であるメラノイジン反応も大きく進行する問題点も明らかとなった。次年度では、水系での反応条件をより詳細に検討し、反応速度の改善と副反応の抑制が可能な反応系の構築を目標に研究を進める。
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Research Products
(4 results)